親のくらし

【言語聴覚士の仕事】ことば|聴こえ|食べることを支援する専門家

ご存じですか?言語聴覚士のことを

私たちは、人間らしい生き方をするために、ことばを使ってコミュニケーションをしています。

お互いの気持ちを伝えたり、知っていることを共有したりしています。

声に出してことばにすることや、読んだり書いたりすることで、お互いの心を通じ合わせています。

おいしい食事を食べたりすることも、生きていく上で必要です。

このような機能が、病気や、事故、発達上の問題で、うまく発揮できなくなる状態になることがあります。

言語聴覚士とは?

コミュニケーションをとる(話す・聞く)こと」や、「食べる」という、人が生きていく上でとても大事な機能を回復していくために、支援をしていく職種です。

・ことばが出にくい、しゃべりにくい

・ことばを理解しにくい、ことばを聞き取りにくい

・コミュニケーションをとることにハンディキャップがある

・食べる・飲み込むことがしにくい  など

ことばによる、コミュニケーションの問題は、小児から高齢者まで、幅広く現れてきます

  • 成人の言語(ことば、聴こえ)・食べること
  • 聴覚の分野
  • 子どもの療育(ことば、発達、食べるなど)

言語聴覚士は、問題の対処や改善をする為の評価・検査をし、治療・支援・助言などをしています。

言語聴覚士になるには

国家試験

1997年に国家資格になりました。1999年に第一回国家試験が行われました。

言語聴覚士になるには、国家試験に合格し、厚生労働大臣から免許を受ける必要があります。

試験は、毎年1回、2月に行われます。

国家試験を受けるためには?

  • 高校を卒業した後に、言語聴覚士養成課程の大学や短期大学や3~4年の専門学校に進学す
  • 大学を卒業した後に言語聴覚士養成校(2年間)に進学

のルートがあります。

大学を卒業して、社会人を経験した人が、2年制の専門学校に入学し、学び直しをして、キャリアアップを目指す人も多いです。

養成校では、一般教養も含め、言語聴覚士に必要な知識やスキルを得るために必要な教科をしっかりと学びます。実際に言語聴覚士が働く現場に出て、自身で検査・評価・治療などを行う臨床実習もあります。

養成校を見てみる(日本言語聴覚士協会参照): https://www.japanslht.or.jp/youseisearch.html

合格率は?

2021年、言語聴覚士の国家試験の合格率は、69.4%です。前年比4.0ポイントアップです。

  • 試験実施:2月20日
  • 合格発表:3月26日
  • 受験者数:2546人(前年比2.4%増)
  • 合格者数:1766人(前年比8.6%増)
  • 合格率:69.4%(前年比4.0%ポイントアップ)

言語聴覚士と同じくリハビリ職である理学療法士(PT)や作業療法士(OT)を比較してみると、その国家試験の合格率の差から、言語聴覚士はリハビリ職の中でも難易度が高い資格と言えるでしょう(参考:2021年度 理学療法士79.0% 作業療法士:81.3%)

言語聴覚士の人数は ?

全国で、36,255人(2021年3月時点)の有資格者がいます。

免許取得後の就職先は?

就職先

  • 医療機関 :病院、クリニック、リハビリテーションセンターなど
  • 保険施設:介護老人保健施設訪問看護事業所など
  • 福祉施設 :特別養護老人ホーム肢体不自由児施設など
  • その他 :教育機関、養成校、研究機関小中学校、特別支援学校、研究施設など

所属勤務先で一番多いのは、病院や施設などですが、今では、地域でかかわる事のできる人材も求められています。

言語聴覚士の活躍の場が、幅広くなってきています。

仕事内容

ことばや発語・発声、コミュニケーションに問題のある方に、必要な検査や評価をして、状態に合わせて治療や支援をします。

言語聴覚士のリハビリは、対象の方と、1対1で、専門的に関わることが一般的です。

様々な問題を抱えている方との治療やコミュニケーションは、根気強さや丁寧な関わりが必要です。

AIに取って変わる仕事が増えてくる近い将来、コミュニケーションを扱う言語聴覚士は、人間にしか出来ない職業だと思います。

2025年、団塊の世代(1947年(昭和22年)~49年(昭和24年)に生まれた、合計出生数が約810万人世代)が全員後期高齢者となります。2025年には、後期高齢者の数は2200万人まで増える予想です。全人口の4人に1人です。

病気を抱えながら、介護やリハビリを必要とする人数の増加が考えられます。まだまだ言語聴覚士の仕事への認知は少ないのが現状だと思いますが、これから先の日本では、必要とされる仕事のうちの一つになると思います。

お給料は?

厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査によると、

  • 平均労働時間:月間163時間
  • 平均年収:418.9万円
  • 平均年齢は33.9歳でした。

目安としてご参照下さい。

どんな人が向いている?

  • 親しみやすくて、明るい
  • じっくり根気強く関わることができる忍耐力
  • 役に立ちたいと思う気持ちを持っている
  • 専門性のある知識を学び続ける向上心
  • 職種と連携できるコミュニケーションスキル
  • 他者目線になって、積極的に理解しようとする力

  などです。実際に、仕事を始めて、現場に出てから獲得してくるスキルも多くあります。

筆者の経歴

高校卒業後、4年制の養成校に在籍。2004年(平成16年)国家試験合格、免許取得、学校卒業。

言語聴覚士として19年勤務しています。

2004年(平成16年)4月~2008年2月 病院勤務

成人、高齢者の方の、言語療法、摂食・嚥下療法に携わる。退院に向けた、重点的なリハビリに従事。

2008年(平成20年)4月~2017年7月 クリニック勤務 

結婚を期に転職。成人、高齢者の言語療法、摂食・嚥下。小児の発達。主に外来や、在宅での訪問リハビリに従事。

2017年(平成29年)7月 訪問看護ステーション勤務 

長女小学校入学を期に転職。現在(2022年)に至る。訪問でのリハビリで、在宅で高齢者の言語療法、摂食・嚥下療法を行っています。病院とは異なる対象者の方への関わりが必要です。

住み慣れた自宅で、障害を持ちながら、より良い生活が送れるよう、言語聴覚士としてできることを模索し続けています。

将来に向けて

本記事では、言語聴覚士についてご紹介しました。

40代は、子どもの進学や、将来の仕事や就職について気になることもあると思います。

やりたいこと・なりたいことは子どもが決めるのは当然です。

子どもには、将来多くの選択肢があります。希望と楽しみがいっぱいです。

そんな未来に希望がいっぱいの子ども達に、ことば、コミュニケーション、など大切な機能を扱う仕事がある事を知ってもらえると嬉しいです。